診療報酬改定について
今年は2年に一度の診療報酬改定の年です。
基本方針の中で「現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進」が重点課題に掲げられています。労働人口の減少に加え、昨今の物価高騰の煽りを受けて医療機関においても賃金上昇圧力が高まっている状況を踏まえての課題設定だと認識しています。
中でも特徴的な評価料として「ベースアップ評価料」が新設されました。看護職員、病院薬剤師その他の医療関係職種について賃上げを実施していくための評価です。令和6年度に+2.5%、令和7年度に+2.0%のベースアップを①医療機関等の過去の実績②今般の報酬改定による上乗せの活用③賃上げ促進税制の活用を組み合わせながら達成を目指す内容となっています。
ベースアップの考え方
ベースアップ評価料の点数設計にあたっては賞与や法定福利費等の事業主負担分を含めた給与総額をもとに設計しているため、基本給や毎月支払われる手当の増額分のみならず、連動して引きあがる賞与分や法定福利費の事業主負担分の増額分もベースアップに含まれます。ただし、業績に連動して引きあがる賞与についてはベースアップに含まれません。
また、ベースアップとは賃金表の改定等により賃金水準を引き上げることを指しますので、賃金表内での等級の変動等はベースアップには該当せず、賃金表に記載の額そのものを引き上げることによってベースアップと見なされます。賃金表を定めていない場合は、給与規定や雇用契約に定める基本給等について引き上げることによって見なされます。
対象者
施設基準に限定列挙されている職種であり、専ら事務作業(医師事務作業補助者、看護補助者等が医療を専門とする職員の補助として行う事務作業を除く)を行うものは含まれません。
また、役員報酬の支払いを受ける者は対象職員に含まれません。一方で派遣職員を対象とすることは可能です。ただし、賃金改善を行う方法等について相談元と相談した上で、「賃金改善計画書」や「賃金改善実績報告書」について、対象とする派遣労働者を含めて作成します。
届出スケジュール
令和6年6月1日からの算定に係る施設基準の届出について、下記の評価料は令和6年6月21日までに提出すれば算定可能です。
・外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)
・歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)
・訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)
実績報告
賃上げの状況については、賃金引き上げに係る計画書や賃金引き上げの実施状況の報告書の提出(毎年)などにより報告する予定となっています。
令和6年度分の実績報告については令和7年6月~8月頃、令和7年度分については令和8年6月~8月頃が予定されています。
報告内容としては、ベースアップ評価料による賃金引き上げの状況や自主財源を含めた全体的な引き上げの状況、ベースアップ評価料の対象とならない職種の状況なども確認される予定です。また、別途抽出調査を行うとの発表もされています。
新設の評価料に関する届出や実績報告は厚生局等の関係機関に確認しながら書類作成した方が間違いは少ないと思います。
また、当社には、顧問先に随時最新情報を共有する体制が整っています。ご相談やご興味のある方はぜひご連絡ください。
コラム執筆者
税理士法人アミック&パートナーズ
青木 良介