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事業承継について

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最近、事業承継のご相談をいただく機会が増えています。

譲受候補先を探してほしいといった相談や、譲渡側と譲受側で事業承継の取り決めはしたものの具体的にどうやって進めれば良いのかといった相談もございます。事業承継を検討される理由の多くは経営者の高齢化や経営不振によるものです。事業の継続を考えられている経営者にとって、どのようにして次の世代にバトンタッチしていくのかは頭を悩ませることでしょう。

M&Aのメリット、デメリット

事業承継は、誰に承継するかという視点で大きく①親族内承継②親族外承継(役員や従業員への承継)③第三者承継(M&A)に分類できます。それぞれの主なメリット・デメリットは下記の表の通りです。

         メリット              デメリット              
親族内承継意思疎通が図りやすい       後継者が限定的           
親族外承継社内事情を熟知している  後継者がやや限定的     
第三者承継後継者を幅広く探索可能 コストがかかる       

また、中小企業庁によると、年々休廃業・解散する件数は増加しており、廃業理由の約3割が後継者難だというデータがあります。そのような中でニーズを増しているのが、後継者を幅広く探索することができる第三者承継(M&A)です。後継者を親族や従業員に限定することで、後継者探しで行き詰まることを回避することができます。M&Aという言葉自体も日本国内で広く一般的に知られるようになりましたし、支援機関のノウハウも蓄積され、年々件数も増加しています。

M&Aの手法

M&Aについて少し掘り下げてみたいと思います。M&Aでは主に「株式譲渡」と「事業譲渡」という手法が用いられます。医療機関に限定すれば、「出資持分譲渡」と「事業譲渡」という手法になります。

ここからは、医療機関の手法について見ていきます。まず、それぞれの具体的なやり方は下記の通りです。

・出資持分譲渡:出資持分を譲渡する(合わせて理事・社員を交代)

・事業譲渡:事業に関する資産等を一括して譲渡する

また、それぞれのメリット・デメリットは下記の表の通りです。

         メリット              デメリット              
出資持分譲渡・手続きが明快
・行政や医師会への
事前相談不要      
・譲渡法人に内包するリスクも承継される 
事業承継・譲渡法人に内包するリスクを遮断できる ・手続きが煩雑
・事前に行政や医師会の承認が
必要となる 

「出資持分譲渡」は経営権の譲渡になり、譲渡法人が承継前にしている契約は原則そのまま引き継がれます。そのため、再契約等の手続きは不要ですが、リスクを遮断することはできません。それに対し、「事業譲渡」は資産等を譲渡法人から譲受法人へ承継しますので、承継前にしている契約は契約主体が変わりため、原則再契約が必要になり、手続きが煩雑になりますがリスクを遮断することが可能です。

事業承継、特に第三者承継においては交渉事が付き物です。譲渡金額や従業員の処遇、運営方針やその他の条件については直接交渉されるより、専門家を介した方がスムーズに進むケースが多いです。

事業承継には他にも手法がありますし、事業承継税制や補助金の活用なども考えられます。実際に検討される場合は、専門家に相談されることをお薦めします。

コラム執筆者

税理士法人アミック&パートナーズ 

青木 良介

青木 良介

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