令和4年度診療報酬改定
令和4年度診療報酬改定では、次の4つの基本的視点に基づき改定が行われました。
(1)新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築(重点課題)
(2)安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進(重点課題)
(3)患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現
(4)効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上
4つの基本的視点の中でも(1)及び(2)が重点課題として位置づけられています。新型コロナウイルス感染症が蔓延してから初めての診療報酬改定でもあり、地域包括ケアや働き方改革などを含め多岐にわたる課題解決を目指した改定となっています。
個別にみると診療報酬は+0.43%の改定でしたが、薬価等は△1.37%の改定となり、マイナスのインパクトの方が大きい改定となりました。また、入院料等においては機能分化を促進する内容が多く盛り込まれています。
特に地域包括ケア病棟入院料は施設基準が明確化され、「急性期後の患者の受け入れ」「在宅患者の入院の受け入れ」「在宅復帰支援」という3つの役割がより一層求められることとなりました。
以下、地域包括ケア病棟入院料について詳しく見ていきます。
そもそも地域包括ケア病棟とは、患者さんが病状安定後、安心して自宅に帰宅し、かつ自分らしい生活を行うために入院する病棟のことです。地域包括ケア病棟に入院できる日数は、原則最長60日と定められています。そのため、約2か月の間に在宅看護ができるまでの回復を目的・目標としたプログラムを組み込みます。
その中で上述した3つの役割を果たすために、重症患者割合や在宅復帰率等の要件が新設もしくは厳しくなるとともに、随所に減算規定が導入されました。
例えば、救急医療の指定を取らずに療養病床であるだけで5%減算となりますし、入退院支援加算1の届出がない、もしくは在宅復帰率が7割以上クリアできなければ10%減算、自院の一般病棟から転棟した患者割合が6割未満でないと15%減算となります。
このように複数の減算規定が定められましたが、複数の減算規定に該当した場合は複数の減算が適用されますので、極めて低い点数になってしまいます。
厚労省は令和7年を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域包括ケアシステムの構築を推進しています。地域包括ケア病棟は地域包括ケアシステムを支える重要な役割を担うため、厳格な運営が求められます。
ご存じの通り、診療報酬は2年に1度のペースで改定されます。
・どのような改定がなされたのか
・どういう対応をしたら良いのか 等々
また、北関東圏をモデルで見ると、まだまだ回復期病床の不足、急性期病床の余剰が各医療圏で見受けられるところもございます。
住み慣れた地域で住民の方が安心して生活できるよう、地域包括ケア病棟への転換や病院方針にお悩みのある方、その他診療報酬についてのご質問やご相談等ありましたら、お気軽にご連絡ください。
コラム執筆者
税理士法人アミック&パートナーズ
青木 良介